国土交通省 「建築物の耐震改修の促進に関する法律」一部改正案
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国土交通省は、3月8日、「建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部改正案」が閣議決定されたことをうけ、その関連資料を公表した。
〔背景〕
大規模な地震の発生に備えて、建築物の地震に対する安全性の向上を一層促進するため、地震に対する安全性が明らかでない建築物の耐震診断の実施の義務付け、耐震改修計画の認定基準の緩和等の所要の措置を講ずる。
◆ 住宅及び多数の者が利用する建築物の耐震化率を平成27年までに9割(平成17年:75%)にする目標(「地震防災戦略」(中央防災会議決定(H17)))の達成には、耐震化を一層促進することが必要。(現行の耐震基準は昭和56年6月に導入)
◆ 南海トラフの巨大地震や首都直下地震の被害想定で、これらの地震が最大クラスの規模で発生した場合、東日本大震災を超える甚大な人的・物的被害が発生することがほぼ確実視。(南海トラフの巨大地震の被害想定(H24.8内閣府):建物被害約94~240万棟、死者数約3~32万人)
〔改正案の概要〕
■建築物の耐震化の促進のための規制強化
○耐震診断の義務化・耐震診断の結果の公表
・病院、店舗、旅館等の不特定多数の者が利用する建築物及び学校、老人ホーム等の避難弱者が
利用する建築物のうち大規模なもの等 ⇒ 平成27年末まで
・地方公共団体が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物 ⇒ 地方公共団体が指定
する期限まで
・都道府県が指定する庁舎、避難所等の防災拠点建築物 ⇒ 地方公共団体が指定する期限まで
○全ての建築物の耐震化の促進
マンションを含む住宅や小規模建築物等についても、耐震診断及び必要に応じた耐震改修の努力
義務を創設。
■建築物の耐震化の円滑な促進のための措置
○耐震改修計画の認定基準の緩和及び容積率・建ぺい率の特例
新たな耐震改修工法も認定可能になるよう、耐震改修計画の認定制度について対象工事の拡大及び
容積率、建ぺい率の特例措置の創設。
○耐震性に係る表示制度の創設
耐震性が確保されている旨の認定を受けた建築物について、その旨を表示できる制度を創設。
○区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定
耐震改修の必要性の認定を受けた区分所有建築物(マンション等)について、大規模な耐震改修を
行おうとする場合の決議要件を緩和。(区分所有法の特例:3/4 → 1/2)
〔(参考)支援措置の拡充〕
○住宅の改修・建替え等に対する緊急支援【平成24年度補正予算案】
通常の支援(国11.5%等、地方11.5%等)に加え、30万円/戸を追加支援(国15万円/戸、地方15万円/
戸)
○耐震診断の義務付け対象建築物に対する重点的・緊急的支援【平成25年度予算案】
耐震診断:国[通常]1/3 ⇒ [緊急支援]1/2
耐震改修等:国[通常]11.5%、1/3 ⇒ [緊急支援]1/3、2/ 5
○耐震改修促進税制(住宅)の拡充【平成25年度税制改正案】
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